HOME > レビュー > 4Kスキャンで蘇った「ゴジラ」公開60周年記念で実現した、リマスター作業の全貌とは(4)
山下 以前セルアニメの作業をしたときにフィルムっぽさを残して作業したんですが、販売元の方から今のアニメファンはもっとはっきりした映像を求めているといわれてグレインを消したこともありました。
堀切 それはちょっと悲しい気もしますね。ただ、例えば今回もピアノ線を消してないわけで、そういった細かなところに配慮しているのは嬉しいです。
清水 今回もピアノ線は消さないように強くお願いしました(笑)。
堀切 昭和世代としては、あれを観るとほっとするんですよね。
清水 前回の堀切さん達の記事にもありましたが、4Kスキャニングだと、オプチカルで合成したカットと他のカットの画質差が分かってきてしまいますから、それもいいか悪いか悩ましいですよね。
堀切 でも、それも映画技術の進化の痕跡ですからね。その痕跡を含めて楽しむべきだと思いますよ。しかしこの画質は凄いですね。4Kテレビだとスクリーン以上にディテイルが露わになります。
清水 今回気がついたんですが、モスラは実はもの凄い数のピアノ線で吊っているんです。でも、4Kにしても見えない線がある。それくらい当時の操演技術は優れていたんだなぁと感心しました。あと、モスラの幼虫のディテイル、血管の浮き具合など、造形物の仕上げも本当に細かいんです。
堀切 今回のレストアでは初号試写の絵と音を目指したというお話がありましたが、当時でもここまでの映像は観られなかったんじゃないでしょうか。
清水 初号のフィルムも一度は複写していますから、わずかでも情報は落ちます。今回は初号よりも色などの情報は多いと思っています。
堀切 これをハイキーにしてしまうと、造形物がプラスチックぽくなってしまうし、今回の映像はひじょうにいいバランスではないでしょうか。
清水 ちなみに今回はダイジェストでしたが、必要なシーンを集めるためにほとんどすべてのロールの映像をスキャンしなくてはなりませんでした。そこは三木が苦労したところです。
三木 最初に編集内容を示すデータが持ち込まれて、それを元にフィルムのどこをスキャンするかを探していったんですが、最終的にはほとんど全部のロールが必要だったんです(笑)。というのも、ダイジェストだから冒頭とラストは必要だし、名場面を選んでいると必然的にロールも分かれてしまいます。
だから今回、ARRISCANには「ゴジラ」のほぼすべてのフィルムをかけたわけで、作業する人間にとってはひじょうに光栄なんですが、何かあったらどうしようというプレッシャーと緊張感は本当に大きかったです。
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