HOME > レビュー > 【麻倉怜士のCES 2017リポート】Vol.01 日本向けモデルの登場時期は? パナソニック有機ELテレビの詳細を、品田事業部長に直撃
麻倉 ところで、先ほど御社のブースで技術者の方にもお話ししたんですが、有機ELでは液晶とは違う絵づくりのアプローチが必要になりますよね。というのも、液晶は弱点をいかに抑えていくかからスタートしました。コントラストが低いからバックライトを制御するとか、動きが鈍いから倍速にしますといった具合です。いってみれば、マイナスからのスタートでした。しかし、有機ELでは弱点はあまりなく、ゼロからスタートができます。これまでが改良の積み重ねだったとすると、有機ELでは本当の意味での絵づくりから始められる。
品田 確かに、おっしゃる通りです。
麻倉 私の持論ですが、映像表示デバイスは「再現」→「表現」→「創造」というポイントで進化すると考えています。例えばブラウン管やプラズマは、デバイスとして「表現」の結構高いレベルまで到達していた。しかし液晶ではいったん「再現」の前まで戻ってしまい、最近ようやく復活してきた状態です。
品田 なるほど。
麻倉 液晶は、IPSパネルは視野角が広いけれど、コントラストは低く、VAパネルはその逆といったように、強みが部分的です。コントラスト、視野角、動画応答性の3つをすべて兼ね備えたパネルは存在しません。しかし有機ELはそれらをすべて持っている。つまりその時点で「表現」が出来るレベルにあるわけです。その「表現」とは、単に悪い部分を修正するだけではなく、それをどういう風に見せれば視聴者が感動してくれるかまで考えることです。
品田 確かにその通りですね。
麻倉 最後の「創造」までいくと、ディレクターズインテンションはこうですよ、といった領域まではいっていきますが、まずは「表現」でどんな絵を作っていくかが重要になるでしょう。入力された信号をただ映すのではなく、その信号に対し、観ている人が感動するような処理を加えてあげることが大切です。その意味では、今回のEZ1000シリーズの登場によって、固定画素デバイスで初めて「創造」に近づいていけるだろうと期待しています。
品田 ありがとうございます。
麻倉 もうひとつ、有機ELは色々な大きさや形にできる可能性もありますよね。以前のインタビューで品田さんは、テレビのお引っ越しがしやすくなるような製品も作りたいとおっしゃっていたと思いますが、今後はそのような展開もあるのでしょうか?
品田 その点についても、パナソニックとして住空間にどのようにディスプレイを調和させるかにトライしています。そのひとつが昨年のCEATECで展示した透明有機ELのプロトタイプです。あれは、リビングに置いても邪魔にならないテレビとはどういうものか、という試みの一環でした。
麻倉 “邪魔”というのは、観ないときに邪魔になると言うことですか?
品田 そうです。テレビは映像を映していないときは大きな黒い物体ですから、やっぱり邪魔ですよね。それが透明になるだけでも印象が違います。
麻倉 確かに透明有機ELは衝撃的でした。
品田 あの展示は商用イメージでしたが、リビングに置いた場合にパネルが透明だったらどういうことができるかといった検討もしています。もちろんもっと軽くしたり、置き場所を選ばないようにできないかも考えています。丸めて持ち歩くというのはもうしばらくかかりそうですが、その前に、今のテレビの存在感を消し去るためにどんなことができるかを、新しいテクノロジーを使って模索していきます。
麻倉 CEATECやIFAの展示は機能性重視だったと思うんです。それもいいんですが、次はリビングにあったテレビが見えなくなるといった、生活の中で感動を得られるような仕掛で驚かせていただきたいですね。
品田 確かに、そうするとテレビの将来についてのイメージがつかみやすいかもしれませんね。前向きに考えてみます。
麻倉 EZ1000の日本向けモデルがどのような画質に仕上がるか、楽しみにしています。今日はありがとうございました。
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