HOME > レビュー > 【麻倉怜士のCES 2017リポート】Vol.04 ソニーの有機ELテレビ「A1E」に迫る。音と映像の一致を目指して開発
CES 2017で話題を集めたソニーの有機ELテレビ、A1Eシリーズは、画面そのものから音がでるアコースティックサーフェス機能も搭載するなど、画質以外にもさまざまな特長を持つ。その製品企画はどこから来たのか、またソニーの有機ELテレビとしてどんな展開を考えているのか。今回は麻倉さんが、ソニービジュアルプロダクツ株式会社の企画マーケティング部門部門長(兼商品戦略部長)の長尾和芳さんと、技術戦略室主幹技師の小倉敏之さんを直撃した。(編集部)
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麻倉 今回のCESではソニーさんからも有機ELテレビ、A1Eシリーズが発表され、大いに話題になりました。私も展示を拝見しましたが、画面を振動させて音を出すアコースティックサーフェス機能を搭載するなど、他社ともひと味違った製品企画に仕上がっていると思いました。
長尾 ありがとうございます。
麻倉 まず長尾さんにおうかがいしますが、そもそもソニーさんは過去にも有機ELテレビを手がけていたわけで、いつ製品がでてきてもいいと思っていました。今回遂に登場したのは、世界的な流れがあったということでしょうか?
長尾 そうですね、それもひとつの要因でしょうか。
麻倉 とはいっても、決して慌てて取り組んだということでもありませんよね。
長尾 そういった意味ではパネルの評価ということは、あらゆるデバイスについて各社さんの製品を日常的にチェックさせてもらっています。そういった中で、有機ELに関しても継続的に評価しており、画質や品質について弊社の実力も出せる領域に達してきていましたし、生産性も上がってきていましたので、今回採用することになりました。
麻倉 有機ELについては、2Kパネルもありましたが、そちらでの製品化は考えなかったんですか。やはり4Kでないと意味がなかった?
長尾 2Kは考えていませんでした。そもそも2Kの有機ELに対抗して液晶の4K開発を始めたようなものですから、弊社としては4Kがプレミアムの価値をあげるために不可欠だと考えています。そこにさらにHDRが加わっていくわけですから、やはり有機ELとしては4Kありきでしょう。
麻倉 となると、ソニーさんとしても開発を続けて、LGディスプレイのパネルもよくなってきている。これならいけるぞと。
長尾 弊社からは、どこのパネルとは申し上げられませんが、その方向になります。
麻倉 現時点、他は考えられないでしょう(笑)。
長尾 今回のA1Eシリーズについて申し上げますと、企画を始めてから商品化まで一年くらいしか掛けていません。
麻倉 それは凄いスピードですね。
長尾 先ほど申し上げた通り、パネルについてはずっと評価してきていましたので情報は持っていました。使いこなしについても、弊社の厚木で業務用機器を手がけていましたので、社内にそれなりのノウハウはありました。
麻倉 あとは製品企画がポイントだったわけですね。
長尾 もうひとつのポイントとして、映像プロセッサーのX1 Extremeがあったことが大きかったでしょうね。あのチップがなかったらA1Eをやっていなかったかもしれません。パワフルなプロセッサーで、そこに新しいアルゴリズムやデータベースを入れることが出来ましたので、色々なパネルの特性に応じた信号をきちんと整えて送り出すことができました。
麻倉 "パネルにあった信号"という点がポイントですね。
長尾 そうです。入力する信号の質が、最終的な画質にかなり影響するということが明確に分かっていますので、信号の質をいかに上げるかが大切だと思っています。
麻倉 X1 Extremeの前のプロセッサーはX1で、2015年に採用されたと記憶しています。X1 Extremeの登場が2016年ですが、表示デバイスの種類を問わずに使えるという点をアピールされ始めたように思います。あの時点から有機ELパネルも視野に入れていたわけですね。
長尾 弊社はパネルを外部調達していますので、そこは選びませんという言い方をしていたかと思います(笑)。
麻倉 私はあの時の解釈として、液晶パネルのメーカーを選ばないということだと思っていたんですが、実はデバイスそのものも選ばないという意味だったとは、気がつきませんでした。
長尾 HDR時代になって、コントラストと質感を高めていくという観点に立つと、信号処理を受け持つプロセッサーと、表示デバイスのコントロール......液晶でいえばバックライトマスタードライブなどの処理......が、画質を大きく決めるということが分かってきています。そういった流れの中で、まずプロセッサーのレベルをぐっと上げたということです。さらに液晶、有機ELなどのデバイスのコントロール性能も高めたことが、ターニングポイントになったと思います。
麻倉 ソニーさんとしては、液晶ではバックライトが新しくなって、それをX1 Extremeでコントロールしているわけで、それはとてもわかりやすい進化でした。では有機ELの場合にはどんなメリットがあるのでしょうか?
長尾 初めての製品ということもありますが、A1Eではパネルの使いこなしに応じた信号生成についてはX1 Extremeの効果があると考えています。カラーボリュウムやコントラストの付け方も違いますし、そういった意味では液晶モデルのZ9Dシリーズと有機ELのA1Eシリーズでは絵づくりがまったく違いますが、どちらもX1 Extremeで処理できています。
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