HOME > レビュー > Audirvana Plus 3速攻レビュー。MQAハイレゾのデコードに対応しソフト自体の音質も向上した
3月10日のニュースで伝えられている通り、Mac向け音楽再生ソフトの定番「Audirvana Plus」の最新バージョン、「Audirvana Plus 3」がリリースされた。1月末という当初の予定からはズレ込んだが、アナウンスされていたようにMQAデコーダーを搭載。ソフトウェア側でのデコードに対応することで、MQA未対応のUSB DACでも、MQAのハイレゾファイルを「MQAデコードして」再生することができるようになったのが大きなポイントだ(MQAは非対応DACでも『MQAデコード』しなければ再生できる)。
ここでは従来のバージョン(2.6.6)との違いを確かめるべく、公式サイトからダウンロードできるトライアル版を使って操作性や音質を比較してみたので、その第一報をお伝えしたい。
画面上の見た目はほとんど従来と同じ。右上の「Audirvana」のロゴ横にMQAのロゴなどが追加されていることがほぼ唯一の違いで、これはMQAファイルを再生した時にだけ表示される(各種設定を行なう「Preferences」メニューにはMQAに関する項目が追加されている)。
加えてAudirvana Plus 3は、TIDALが今年になって開始したハイレゾ/MQAストリーミング「TIDAL Master」にも対応を果たしており、TIDALのアカウントを持っていれば"30,000曲以上"とされるハイレゾファイルを自在に楽しむことができるようになった。
TIDALのメニューから「New」を選択すると「Playlists」「Albums」「Tracks」のタブの横のプルダウン内に「Masters」の項目が追加されている。これを選択すると、現在配信中のTIDAL Masterタイトルだけがソートされ、ワーナー系を中心とした名盤から最新作までがズラッと並ぶ。ひと口にハイレゾと言っても96kHz/24bitや88.2kHz/24bitだけでなく、192kHz/24bitや352.8kHz/24bitの音源も含まれており、こんなにデータ量の重いものまでストリーミングで聴けてしまうのかと驚かされる。
MQA対応モデルが手もとになかったこともあり、今回はひとまず外部USB DACを使わず、自前のMacBook AirにフィットイヤーのカスタムIEMを直結してAudirvana Plus 2と3の音を聴き比べてみた。Plus 3にバージョンアップするにあたり、MQAへの対応だけでなく、基本的な音質も向上したとのことで、印象がどのくらい違って聴こえるだろうか。
最初にデジファイNo.23の付録ディスクに収録されたMQAファイル「ベルリオーズ:葬送と勝利の大交響曲、昇天」を再生。ストレートデコードされれば、画面左上の表示は “DAC:24/352kHz”となるはずだが、表示は“DAC:24/88.2kHz”。ん? と思いつつ、TIDAL Masterから192kHz/24bitのデヴィッド・ボウイ「Young Americans」を再生してみると、今度は“DAC:24/96kHz”。これはどうしたものか?
編集部に相談しながら、あれこれ試しているうちに気がついたのだが、英文マニュアルには 「MQA with first unfolding (playing the 88.2kHz or 96kHz content of 2x or more MQA audio files) 」と書かれている。つまり、MQAファイルは元メリディアン・オーディオ/現MQA代表であるボブ・スチュアート氏の唱える「ミュージック折り紙」の理論でいう1回目の展開での再生ということになるようだ。全展開(フルデコード)で聴くためには、やはりMQAに対応した外付けDACが必要というわけだ。
「え、そうなの?」と面食らう方がいるかもしれないが、Plus 2と3の間にはそれを補うだけの明らかな音質差があり、個人的にはまずそこに感激してしまった。MacBook Airの内蔵DACの出力を96kHz/24bitに設定して、通常のハイレゾファイルから、ポール・サイモンの「The Werewolf」(96kHz/24bit/FLAC)を再生すると、音像の輪郭の緻密さや低域の情報量の多さ、中域の厚みなどにPlus 3の明らかな優位性を確認することができる。Plus 2でもまったく悪くはないのだが、聴き比べるとPlus 3は全体的な質感がより高い。またS/Nがよく、音場にどっしりと落ち着きも感じられ、確かな安定感がある。
続いてPlus 3で、TIDALの通常の音質(CDクォリティ)の44.1kHz/16bitとTIDAL Master(MQA形式)の96kHz/24bitを聴き比べてみた。試聴したのはビリー・ジョー・アームストロングとノラ・ジョーンズのデュオ作から「Rovinrg Gambler」。Plus 3のTIDAL Masterの方がアコースティックギターのボディ感やウッドベースのしなやかさなどがよく出ていて、ヴォーカルもより開放的に響く。ハイレゾらしい余裕のある音場感も魅力的だ。
192kHz/24bitや352.8kHz/24bitなどのMQAファイルのストレートデコードこそできないものの、Audirvana Plus 3の音質的な進化ぶりは目覚しい。また、ハイレゾファイルとMQAによるハイレゾストリーミングのタイトルをひとつの画面からシームレスに管理、再生できるようになるのも大きな進化といえそうだ。
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