HOME > レビュー > ヤマハYAS-106 / YSP-2700レビュー:オーディオ機器としても通用する、頼りになる「プラスワン」アイテム
[HiVi 2016年11月号レビュー]ヤマハ YAS-106 / YSP-2700
テレビとの組合せで手軽に音質改善できるヤマハのサウンドバー。通常のサラウンド再生システムに比べると、設置が手軽で、スペースファクターも良好。上級機のYSP2700はサブウーファーを付属しているが、本体との接続はワイヤレス仕様で、ケーブルを引き回す必要はない。
またYAS106、YSP2700ともに、スマホやタブレットに収録した音源をワイヤレスで手軽に楽しめるブルートゥース対応で、特に後者については、機器間での音楽配信、共有、リンク再生が専用アプリで楽しめる独自のMusicCastもサポートしている。
まずYAS106から見ていこう。丸みを帯びたスリムな本体が特徴的な一体型で、本体内にフロントL/Rの2ウェイスピーカー+サブウーファーを備える。HDMI入力は4K/60pに対応した最新のHDCP2.2仕様で、HDR対応も抜かりがない。CEC(Consumer Electronics Control)リンク機能にも対応し、テレビの内蔵スピーカーと同じ感覚で使用可能。さらに専用アプリを使えば、スマホから音量調整、入力切替えなどの基本操作に加え、5つのサラウンドモードの切替えも可能になる。
しなやかな声の表現など自然体の音作りは好印象
まず「ステレオモード」で聴き慣れたCDから2、3曲再生してみたが、低域の表現はややオーバーに感じられるものの、穏やかで、落ちついた聴かせ方だ。声のニュアンスも悪くない。ワイドレンジ志向ではないが、響きの拡がりは自然で、声の表現もしなやか。情報量で聴かせるタイプではないが、無理のない、自然体の音づくりは好印象だった。
BD『シカゴ』はセリフを自然に定位させて、その外側に効果音、音楽が拡がっていく感じ。サブウーファーを内蔵していることもあって、低音の吹き上がりも思いのほか良好。ただ凄味を効かせたセリフでは、若干、輪郭がにじむため、スピーカー本体をインシュレーターなどでラックから浮かせるような設置が好ましいように感じた。また空間表現を重視するあまり、時折、逆相感が気になるものの、極端な不快感を覚えるようなことはなかった。
YAS-106のHDMI端子は入力、出力ともに各1系統を装備。HDCP2.2と4K/60p、HDR信号のパススルーにも対応する。音声フォーマットは、リニアPCM、ドルビーデジタル、DTS、AACに準拠
続いて独自のYSP技術により、リアルサラウンド再生が楽しめるYSP2700。28mm径のスピーカーユニットを16個、インラインで収めた本体の高さは51mmと実にスリムで、トップパネルに施したアルミのヘアライン仕上げも高級感がある。サブウーファーはワイヤレス仕様で、縦置き、横置き可能なバスレフ方式。2ユニット構成としている。
サウンドバーの場合、高度な位相制御にて、擬似的にサラウンド効果を演出するバーチャル技術を使うのが一般的だが、YSPシリーズにはこの常識は当てはまらない。具体的には、7.1chの音(信号)を束ね、16個のビームスピーカーによって音を壁に反射させることで、7本の仮想スピーカーを視聴者を取り囲むように配置するというもの。空間表現に逆相処理は行なっていないため、響きの拡がりが自然で、視聴ポジションによる音質の差も比較的少ない。
CD再生では音の静かさ、質感のよさが新鮮だった。この類のスピーカーシステムでは、どうしても女性の声が渇き気味に聴こえたり、弦の響きがざわついたり、質的な限界を感じることが少なくないが、このモデルはそうした違和感が少ない。にじみのない清々しいサウンドで、爽快感がある。
映画『シカゴ』のシネマDSPを使った再生(スペクタクルモード)でも音の鮮度は落ちることなく、音場の拡がりもスムーズだ。基本的な情報量をしっかりと再生しながら、セリフを中心に、効果音、音楽と冷静に描き分けていく。当然ながら、不自然な逆相感は皆無、ストレスがない。
方式、グレードの違いはあるものの、両機種ともに、手軽にテレビの音質を強化できて、しかもリビングのオーディオとしても充分通用する。間違いなく、頼りになる「プラス・ワン」である。
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SURROUND SYSTEM
YAMAHA
YAS-106
オープン価格(実勢価格¥26,000前後)
●型式:2ウェイ6スピーカー・アンプ内蔵 バスレフ型
●アンプ最大出力:30W(×2)+60W
●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター×2、55mmコーン型ミッドレンジ×2、
75mmコーン型ウーファー×2
●接続端子:HDMI入力1系統、HDMI出力1系統、デジタル音声入力1系統(光)、
アナログ音声入力1系統(3.5mmステレオミニ)、サブウーファー用プリアウト1系統
●対応コーデック:SBC、AAC
●寸法/質量:W890×H53×D131mm/3.2kg
YSP-2700
オープン価格(実勢価格¥120,000前後)
【メインユニット】
●型式:アンプ内蔵密閉型
●使用ユニット:28mmコーン型×16
●接続端子:HDMI入力3系統、HDMI出力1系統、デジタル音声入力2系統(光、同軸)、
アナログ音声入力1系統(3.5mmステレオミニ)、サブウーファー用プリアウト1系統
●対応コーデック:SBC、AAC
●アンプ最大出力:32W
●寸法/質量:W944×H51×D154mm/4.0kg
【サブウーファー】
●アンプ最大出力:75W
●使用ユニット:100mmコーン型ウーファー×2
●寸法/質量:W147×H444×D353mm/7.9kg
【問合せ先】
ヤマハミュージックジャパンお客様コミュニケーションセンターオーディオビジュアル機器ご相談窓口
電話番号:0570-011-808
>>ヤマハミュージックジャパンのホームページ
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