HOME > レビュー > ラックスマン LX-380/D-380レビュー:ウッドケースの真空管システム。端正で素朴な表現力に聴き入った
[HiVi 2017年1月号レビュー]ラックスマン LX-380 / D-380
ラックスマン、真空管プリメインアンプの本流となる型番「38」を受け継いだLX-380。初代のSQ38(1963年発売)から数えると12代目となる伝統のナンバーであり、天然木突き板仕上げのロ(ろ)の字型木箱をはじめ、コンビネーションノブ、レバースイッチなど、往年のデザインに通じる風格のある仕上がりが特徴的だ。
今回は、同時発売となったCDプレーヤー、D-380も一緒に試聴した。こちらもLX-380同様の木箱が用意され、デザインのマッチングが図られている。
まずLX-380だが、音量調整に電子制御アッテネーター、LECUAを真空管アンプとして初搭載している。88ステップのボリュウム調整が可能で、ギャングエラーが少なく、小音量再生時のS/Nも有利になるという。
パワーアンプ部は、ムラード型のドライバー段とビーム管接続のファイナル段とし、出力管には6L6GC(エレクトロ・ハーモニクス社製)を固定バイアスで使用。プッシュプル構成のファイナル段によって20W×2(6Ω)の定格出力を確保している。
なお、真空管は動作電圧、放熱構造に余裕を持たせた長寿命設計で、同社は発売から数十年を越える製品もメンテナンスし続ける体制を確立している。
また、プリアンプ、パワーアンプは完全な分離構造となっている。両者を独立して動作させるセパレートスイッチも用意され、AVセンターと接続する場合、2ch仕様のパワーアンプとしても活用可能。将来を見据えた拡張性を持ち合わせているというわけだ。
MM/MC対応のフォノアンプ回路は半導体によるもの。レコードの反りによる低音の揺らぎを抑えるサブソニック・スイッチや、モノーラル盤再生時にL/Rチャンネルの信号を強制的に均一にするモノーラル・スイッチも用意している。
LX-380のリアパネル。4系統(RCA)のアナログ入力端子のほか、MM/MC対応のフォノ入力やプリ出力も搭載する。2系統のスピーカー端子は横一列に配置。前面にはサブソニックフィルターやラウドネスのレバースイッチも備える
スピーカーはソナス・ファベールのChameleon T、CD/SACDプレーヤーはデノンのDCD-SX1を用いてそのサウンドを確認したが、解像感、レンジを無理に欲張らない穏やかな聴かせ方が特徴的だ。質感が滑らかで、輪郭もスムーズ。やや大人しい調子に感じるかもしれないが、リズム感が軽やかで、刺々しさがない。
ピアノトリオも威圧感がなく、自然体であるがままを聴かせるという、力みのないサウンドが身上だ。Chameleon Tとの組合せでは、低域の張り出しが控えめで、ややさっぱりとした調子に感じられたが、演色のない聴かせ方は悪くない。
ハイレゾ音源の反田恭平のピアノでは、耳ざわりなエッジの強調は皆無。しなやかな鍵盤のタッチといい、空間に浸透していく緻密な響きといい、その表現は端正で、素朴。時間の経過を忘れてしまうほど、その生気溢れる演奏に聴き入ってしまった。
D-380のリアパネル。出力端子はひじょうにシンプルで、アナログ1系統(RCA)、デジタル2系統(同軸、光)のみを搭載する。なお、本機は2種類のデジタルフィルターを用意しており、音質の好みに合わせて選択できる
続いてCDプレーヤー、D-380だが、かつて同社のCDプレーヤー、D38uで搭載したことのある半導体、真空管回路の出力切替え機能を備え、前面のレバースイッチの上下で選択が可能だ。
半導体出力はDACダイレクト。対する真空管出力はMT管、ECC82による増幅回路から専用のフィルムコンデンサーと大型の出力トランスを経て送り出されるというもの。DAC ICはTI製のPCM5102Aで、2種類のデジタルフィルターの切替えを可能にしている。
LX-380との組合せで、まずは半導体出力で聴いてみたが、音のエッジをキリッとさせて空間の拡がりも大きく、スムーズだ。これはこれで納得のいくサウンドだが、真空管に切り替えるとその豊かな表現力に魅了される。情報量が増えるわけではないが、全体に柔らかな感触を大切にしながら、ほどよく音の芯を出している感じの穏やかな音づくりで、荒っぽさは皆無。この組合せではデジタルフィルターは低域が分厚い「1」がお勧め。切なげに歌うシャンティの声についつい聴き入ってしまった。
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INTEGRATED AMPLIFIER
LUXMAN
LX-380
¥460,000(税別)
●定格出力:20W×2(6Ω)
●接続端子:アナログ音声入力4系統(RCA)、MM/MC対応フォノ入力1系統、プリ出力1系統、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)他
●使用真空管:6L6GC×4本、ECC82×3本
●寸法/質量:W440×H197×403mm/17.6kg
CD PLAYER
D-380
¥290,000(税別)
●再生可能ディスク:CD
●接続端子:アナログ音声出力1系統(RCA)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)
●出力電圧:半導体2.1V、真空管2.4V
●出力インピーダンス:半導体300Ω、真空管300Ω
●周波数特性:半導体20Hz〜20kHz(+0、−0.2dB)、真空管20Hz〜20kHz(+0.1、−0.3dB)
●使用真空管:ECC82×1本
●寸法/質量:W440×H167×286mm/10.8kg
【問合せ先】
ラックスマン(株)
電話番号:045-470-6980
>>ラックスマンのWEBページ
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上杉研究所 藤原伸夫氏設計・製作 6L6プッシュプル・インテグレーテッドアンプ
Sun Audio SVC-200 管球王国ヴァージョン (プリアンプ)
真空管と採用パーツの変更で音質と安定性の向上を図った限定高音質仕様
エレハモ製6550EHと優れた特性のトランスが活きたパワーアンプ