HOME > レビュー > 『Stereo Sound Hi-Res Reference』は、フォーマットでの音質差を物語る正真正銘のリファレンス音源
[HiVi 2017年6月号レビュー]『Stereo Sound Hi-Res Reference』
「CDに対するハイレゾの優位性」「PCMとDSDの違い」。それはハイレゾ時代のオーディオファンにとって大きな探求テーマだが、これらの音質差を明快に物語る音源が登場した。
Stereo Sound Hi-Res Referenceの名を冠するそのアルバムは、DSD 11.2MHz、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24ビットの3種類のフォーマットが用意され、現在はmoraから独占配信されている(編注:5月31日によりOTOTOYでも配信が開始した)。
Stereo Sound Hi-Res Reference
DSD 11.2MHz/1bit
(特典 44.1kHz/16bit音源付)
TOMA & MAMI with SATOSHI
■価格:¥3,888(税込)
■収録曲:7曲
>>mora購入ページ
>>OTOTOY購入ページ
Stereo Sound Hi-Res Reference
DSD 5.6MHz/1bit
(特典 44.1kHz/16bit音源付)
TOMA & MAMI with SATOSHI
■価格:¥3,240(税込)
■収録曲:7曲
>>mora購入ページ
>>OTOTOY購入ページ
Stereo Sound Hi-Res Reference
PCM 192kHz/24bit
(特典 44.1kHz/16bit音源付)
TOMA & MAMI with SATOSHI
■価格:¥3,240(税込)
■収録曲:12曲
>>mora購入ページ
>>OTOTOY購入ページ
ポイントは、各々にCDクォリティの44.1kHz/16ビット音源が付属すること。つまりこのアルバムは、CDフォーマットとハイレゾフォーマットの音質比較を目的に制作された、文字通りの「リファレンス音源」なのである。
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収録されているのは、サックスの苫米地義久、ピアノの石塚まみ、パーカッションの石川智による、ナチュラルテイストのアコースティック・ジャズ。サウンド・プロデュースとレコーディングは、現・日本音楽スタジオ協会会長で、アナログ時代から多くの録音を手がけてきた高田英男氏。
その収録はたいへん手の込んだもので、録音と同時にミックスマスターを制作する1発録りの手法が採用され、しかも5セットのDAW(デジタル録音システム)を駆使したフォーマット/レゾリューション別の同時収録が行なわれたというからすごい(ダウンロード特典のブックレットに録音コンセプト、レコーディング機材、制作過程が詳細に解説されている)。
録音システムは上の通り。5系統のDAWシステムが同時稼働しており、それぞれが異なるフォーマットで記録をしている。収録後は編集どころか、フォーマット変換なども一切行なわない点が特徴だ
結果、フォーマットやレゾリューションの違いによる音質差が表現されたアルバムに仕上がっている。例えば『Down by the Salley Gardens』で、CDクォリティのPCM 44.1kHz/16ビットと192kHz/24ビット、DSD11.2MHzの各音源を比べてみると、演奏を始める前の録音現場の空気感や、サウンドステージの奥行など、明らかにハイレゾの方が優れているのが分かる。
さらにサックスとピアノを聴くと、PCMとDSDの違いもわかりやすい。192kHz/24ビットではPCMらしいシャープな表現でリアルさがあり、余韻など微小レベルの再現性に優れているのだが、対してDSD11.2MHzでは全帯域に密度があり、現場の空気感もより伝わってくる。
パーカッションソロの『Percussion Solo-A』は、44.1kHz/16ビットも表現力は悪くないのだが、ふたつのハイレゾの方が打楽器ひとつひとつの大きさや内部の反射までもが明確に感じられる。
実際、筆者が講演したイベントで本音源を再生したところ、来場者からもこれらの違いを明確に聴き取れたという反響があった。同種の比較音源はいくつか存在するが、5系統もの録音システムを同時に使って収録した作品はない。正真正銘のリファレンスである。
*
Stereo Sound
Hi-Res Reference Check Disc
パッケージ版 (BD-ROM+CD)
¥14,800(税込)
上記で紹介している音源に加え、さまざまなチェック音源(全12曲47トラック)をBD-ROMに収録したパッケージ版が6月20日(火)に発売予定。44.1kHz/16ビットの比較用CDも同梱した2枚組仕様だ
上杉研究所 藤原伸夫氏設計・製作 6L6プッシュプル・インテグレーテッドアンプ
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真空管と採用パーツの変更で音質と安定性の向上を図った限定高音質仕様
エレハモ製6550EHと優れた特性のトランスが活きたパワーアンプ