HOME > レビュー > VODが「高品質」に目覚めた(1) 同一素材を75インチで比較して、あまりの画質の違いに驚いた!
VODやストリーミング配信の動画画質は悪い......は、常識である。確かに便利だが、もともとスマホの画面で、それなりに観えればよいという程度の姿勢で制作(エンコード)されたものだから、大きな画面で見れば、拍子抜けする低画質も当然だ。ところが、こんな常識が覆される時が来た。VOD大手のビデオマーケットが配信画質向上に乗りだし、一年以上をかけて、高画質化のメソッドを確立したのである。その成果は......、常識破りのものであった。
小画面のモバイルデバイス向けに制作するのだから、クォリティにこだわる 理由がない。それなりに映ればよい。ところが大型テレビで視ると、無残な画質になる。それを、ビデオマーケットの新システム、UHQ(ULTRA HQ)エンコードはどれほど改善するのだろうか。
まず現状を確かめよう。チェックしたコンテンツは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(以下『フォースの覚醒』)『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と日本映画『ちはやふる』。ディスプレイは75型の4K液晶テレビだ。いずれもフルハイビジョン(2K)映像であり、ディスプレイ側で4Kにアップコンバートしている。
『フォースの覚醒』は配信を行なっている3つの配信業者の映像を観た。A /B/Cとしよう。Aはもの凄いボケだ。すべてが甘く、まるでVHSの3倍モードだ。輪郭がとろんと解け、物の表面がつるんとし、ヴィヴィットな映像情報が皆無。Bは輪郭はかなり強調され、鮮鋭感らしきものはあるが、ディテイルがほとんどないので、これまた奇妙な映像だ。斜め線もギザギザが多く、見るに耐えない。コントラストが強調され、ギラギラだ。これもだめ。
Cの『フォースの覚醒』 も、輪郭が強すぎる。小画面でそれなりに見える ように強調しているのだろうが、テレビでは余計なお世話だ。動きがぶれるのはフレームレートが、もともと60iの素材を30pに変換しているせいだと思われる。どれもこれもひどいのひと言。これでは、積極的に配信コンテ ンツを大画面テレビで観ようとは思えないだろう。
これらの画質の理由を簡単に指摘すると(1)テレビ放映用のマスターを使っている、(2)エンコード時に発生する圧縮ノイズ、(3)映画なのにi(1秒に60フィールドのインターレース)素材、(4)再生アプリの問題などが挙げられる。
つまり配信の画質改善とは、これらの問題にどう対処するかであった。では、ビデオマーケットのUHQエンコードでAVCエンコード処理した『フォースの覚醒』はどうか。まったく違うではないか。BDソフト並とまでは言えないが、これまで観てきた映像より格段によい。
エンコード時に発生するノイズが少ないので、フィルムグレインがはっきり観て取れる。グレインはひじょうに細かく、動きがあるので、エンコード時にデータ量を消費してしまう。通常、配信レベルのビットレートではグレインはほとんど潰れてしまうが、UHQエンコードの『フォースの覚醒』は、BDを彷彿させるくらいグレインが豊穣だ。
グレインはフィルムを現像、定着する化学処理過程で発生する、いわば「フィルム撮影の証」であり、コンテンツの重要な一部であるとの認識がハリウッドの常識だ。まずそのポイントで、コンテンツに対する敬意が感じられた。輪郭やコントラスト感をむやみに強調せず、ナチュラルでフラットな質感も好ましい。
さらに驚いたのが、プレミアムなクォリティ追求のために用意されるHEV Cエンコード処理だ。まずS/Nとディテイル再現のバランスレベルが格段に上がった。細部情報が豊潤に再現されるが、圧縮ノイズが少ない。色の透明感も向上。同社のHEVCエンコーディング技術は大いに期待できそうだ。
『ちはやふる』も、同様であった。他社の配信映像では、カラーノイズが多く、斜め線も破綻している。モスキートノイズも散見される。それがUHQエンコードでは圧縮系のノイズだけでなく、 字の回りのモスキートも減った。
こうした刮目画質を実現した技術の詳細は来月号に譲るが、ビデオマーケットが配信画質は劣悪という常識を覆したのは、確かな事実だ。 (次回へ続く)
まずはこれをチェック。
UHQエンコードを採用した主なタイトル
「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」
(好評配信中! 540ポイント/2日間)
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
「ヒックとドラゴン2」
「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」
「ファインディング・ドリー」
「ブリジット・ジョーンズの日記
ダメな私の最後のモテ期」
「ペット」
「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」
「X-MEN:アポカリプス」
「メイズ・ランナー」
「ブルックリン」
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←ビデオマーケットのテレビサービスでは、レンタルビデオ店のように映画やドラマなどのジャンル別に表示されており、ランキング・特集ページも準備されている。今回そこにUHQエンコードされた作品を集めた「UHQ高画質コーナー」が追加された。麻倉さんの本文を読んで気になった方は、ぜひご確認いただきたい
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