HOME > レビュー > アキュフェーズ DP-560 / E-270レビュー:音楽全体に勢いがみなぎる、エントリークラスのプリメインアンプとSACDプレーヤー
プリメインアンプ E-270(左) / SACDプレーヤー DP-560(右)
[HiVi 2017年3月号レビュー]
アキュフェーズ SACDプレーヤー DP-560 / プリメインアンプ E-270
この冬(編注:2016-2017シーズン)に登場したアキュフェーズのSACDプレーヤー「DP-560」とプリメインアンプ「E-270」。これらを組み合わせて、そのサウンドをたっぷりと味わってみたい。
SACDプレーヤーのDP-560は、前モデルDP-550からドライブ部を大幅に改良。制振性と静音性を高めているのが特徴だ。具体的には、ディスクを覆うブリッジ部分を大型化、さらに3層構造とすることによって遮音性を向上。加えて新開発の高性能弾性ダンパーで、ディスクの回転音を抑制している。これは外部から伝わる振動の低減にも寄与しているという。これらによってディスクの回転音をDP-550の3分の1まで抑えることに成功している。
DAC素子にはESSテクノロジーのES9018Sを採用。しかも、これを4基用いて並列駆動するというこだわりぶりだ。USBを含む4系統のデジタル入力端子を用意し、PCMでは384kHz/32bit、DSDは11.2MHzまでをサポートしている。
DP-560のリアパネル。搭載する接続端子は前モデルDP-550と変わらず、アナログ出力2系統、デジタル入力4系統などを備える。同社独自のデジタル・オーディオ・インターフェイスHS-LINKは、PCM 384kHz/32bit、DSD 5.6MHzをサポートするVer.2規格に対応している
いっぽう、プリメインアンプのE-270は、2012年に発売されて高い評価を博したE-260をブラッシュアップしたモデル。AAVA方式ボリュウム・コントロールを改良してプリ段の雑音を抑えているほか、パワー段においてもダンピングファクター(制動力)の大幅な改善が行なわれている。
E-270のリアパネル。全6系統のアナログ入力のほか、プリ出力、パワーアンプ入力も1系統ずつ備え、外部パワーアンプやAVセンターとの接続も可能だ。左端のスロットにはオプションのDACボード(DAC-40。¥80,000、税別)、フォノイコライザーボード(AD-30。¥60,000、税別)が装着できる
取材ではDP-560とE-270をバランス接続し、スピーカーにはパイオニアS-1EXを用いた。
では、SACDから試聴してみよう。マイルス・デイヴィスの『マイルス・スマイルズ』収録の「フットプリンツ」を再生。まず印象的なのは、分離感の高さだ。中心に立つマイルスの滑らかなトランペット、そのバックに控えるドラムやピアノ、サックスなどがきれいに配置される。また、シンバルやタムの強弱がヴィヴィッドに伝わり、演奏の面白さを引き立ててくれた。テナーサックスの密度の高さも格別だ。使い古された言葉だが、とても50年前の演奏とは思えないリアルさだ。
こうした体験をしてしまうと、デジタルファイル時代が到来しているとはいえ、ディスクメディアもまだまだ進化する余地があることを思い知らされる。
METAFIVEのCD『METAHALF』では音楽全体に勢いがみなぎる。そのうえ、ヴォーカルが適度に浮き彫りになり、声そのもののニュアンスを感じることができた。また、左右へすっきり広がる音場にも感心した次第。超低域をうねるシンセベースは耳元へストレートに迫ってきた。
次は三宅純のCD『ロスト・メモリー・シアター act-2』を再生。アコースティックサウンドを中心とした音楽だが、そこに時折エレクトロニックな要素が混じる、独自の表現が詰まった作品だ。このシステムでは、それをひじょうに調和したサウンドで展開する。また、作品が持つダークであやしげな世界も表現してくれた。
この作品は5.6MHzのDSDでも配信されているので、MacBook AirからDP-560へUSB入力して印象がどのように変わるかも試してみた。当然ながら、顕著に感じたのはハイレゾらしい情報量の多さだ。特に女性ヴォーカルはきめ細かく、高域には輝きも乗る。いっぽう、エレキギターはキレがプラスされ、ストリングスはしっとりと音楽の背後に漂い出した。CD再生時よりもどこかエロティックな雰囲気が濃厚になったようだ。
PCMはノラ・ジョーンズの『デイ・ブレイクス』(96kHz/24bit/FLAC)を聴いてみる。レイドバックしたようなサウンドが印象的な「キャリー・オン」ではノラの特長的な声を堪能したが、ほのかな体温さえ伝わって来るかのようだった。また、この曲ではピアノとともにオルガンが効果的に配置され、雰囲気づくりにひと役買っているのがわかる。その音色も決して濁ることがない。どっしりと腰が据わった低域も聴き逃せないポイントだ。
このようにSACD、CD、ハイレゾと聴き進めたが、それぞれのメディアや形式を意識することなく、高品質なサウンドで楽しむことができた。それにSACD、CDとハイレゾの比較試聴も難なく行なえる。こうした試聴スタイルはこれからますます大きな価値を帯びてくることになるだろう。
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INTEGRATED AMPLIFIER
ACCUPHASE
E-270
¥300,000(税別)
●定格出力:90W×2(8Ω)、120W×2(4Ω)
●接続端子:アナログ音声入力6系統(RCA×5、XLR×1)、プリ出力1系統(RCA)、パワーアンプ入力1系統(RCA)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)他
●寸法/質量:W465×H151×D420mm/20kg
SACD/CD PLAYER
DP-560
¥600,000(税別)
●再生可能ディスク:SACDステレオ、CD、CD-R/-RW、DVD-R/-RW/+R/+RW(データディスク)
●接続端子:アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)、デジタル音声出力3系統(同軸、光、HS-LINK)、デジタル音声入力4系統(同軸、光、USBタイプB、HS-LINK)
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:[USBタイプB]~384kHz/32bit(PCM)、~11.2MHz/1bit(DSD) [HS-LINK]~384kHz/32bit(PCM)、~5.6MHz/1bit(DSD)
●寸法/質量:W465×H151×D393mm/18.8kg
【問合せ先】
アキュフェーズ(株)
電話番号:045-901-2771
>>アキュフェーズのWEBページ
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