HOME > レビュー > ディナウディオ Contour 60/Contour 20/Contour 25Cレビュー:13年ぶりにフルモデルチェンジしたスピーカーシリーズ
2017年7月 3日/小原由夫・HiVi編集部
Contour 20(左) / Contour 25C(右前) / Contour 60(右奥)
[HiVi 2017年3月号レビュー]ディナウディオ Contour 60/Contour 20/Contour 25C
音を精工にちりばめたゴージャスな立体音響に溺れた
コンター・シリーズは、ディナウディオの中核ライン。そこに注がれたテクノロジーとノウハウは同社の最新・最強のものだ。先代から実に13年ぶりのフルモデルチェンジとなったこの新型はそうしたトピックスに溢れているのだが、開発にあたって組織されたプロジェクトチームがベテランエンジニアを筆頭に、新卒入社の若手、他社から入社したエンジニアといった、キャリアも背景も異なるメンバーで構成されていたというのが興味深い。
コーン型ドライバーユニットはいずれも新しく、特に15cmミッドレンジはネオジウムマグネットを搭載した磁気回路を含め、まったくの新規設計。アルミニウムボイスコイルはミッド/ウーファー共通だが、ウーファーに関してはロングボイスコイル仕様となり、可動範囲が70%アップ。フェライトマグネットも大型化された。
コーンの素材は一貫して変わらない同社オリジナルの「MSP(ケイ酸マグネシウムポリマー)」というもの。今回採用したのは中心部が薄く、外周部に向かうほど厚くなっている新しい形状のものだ。ラバー製のエッジ部も断面が楕円形状に改められた。スパイダーサスペンションも同様に新規設計。これらは新たに導入された有限要素法に基づくコンピューター解析システムによってデザインされている。なお、トゥイーターには上位モデルで採用されてきた同社自慢のEsotar2というソフトドーム型ユニットが搭載されている。
CONFIDENCEやEVIDENCEといった上位シリーズでも採用されている、ファブリック素材を用いたドーム型トゥイーター「Esotar2(エソター・ツー)」を全モデルに搭載。フロントバッフルは鋳鉄から14mm厚のアルミに変更され(トゥイーター部には5mm厚のアルミプレートも装着)、剛性の向上や不要振動の低減を実現している
側面がシェイプされたラウンドエンクロージャーも、ディナウディオとしては初めてのもの。厚みの異なるMDF積層材が用いられ、5軸カッティングヘッドを有したCNCマシンによって組み立てられる。突き板の仕上げは最高11層にもなるラッカー塗装。また、フロントのサブバッフルは鉄板を使っていた従来型に対し、肉厚の14mmアルミ製となっている。バスレフポートが背面に備わっているのは、全機種共通。クロスオーバーネットワークも改善されており、ドイツのムンドルフ製キャパシターなどの高品位パーツが採用されている。
まずはステレオ再生をチェックした。3ウェイ4スピーカー構成による大型トールボーイといってよいサイズのコンター60は、声の実体感が真に素晴らしい。逞しい音像フォルムで、どっしりと腰の座った安定感のあるエネルギーバランス。ベースラインは太いトーンで、体幹のしっかりとした筋肉質のアスリートを想起させる。響きのリッチネス、ダイナミックなソノリティが持味で、鈍さや緩さはいっさいなく、反応はきわめてヴィヴィッド。解像感にも不満はない。コンター20の価格を勘案すれば、割安感もある。
そのコンター20は、ブックシェルフ型2ウェイということもあり、さすがにコンター60のようなローエンドの重心感と厚みの充実さはない。しかし、しっかりとダンピングの効いた低音を小気味よく繰り出す。音離れのよさ、音場の立体的再現では、むしろコンター60にはない魅力を放っている。ややこぢんまりとしてはいるものの、オーケストラの楽器配列などがきれいにイメージできる表現だ。また、良質のフルレンジスピーカーを聴いているような2ウェイのつながりのよさと定位感の明瞭さも特筆したい。
今回はサラウンド再生も試すべく、フロアースピーカーをコンター・シリーズで揃えた試聴も実施した。フロントにコンター60、サラウンドにコンター20、センターに2ウェイ3スピーカーのコンター25C、そしてトップスピーカー4本とサブウーファーを加えた5・1・4という構成で、ドルビーアトモス収録の『ハドソン川の奇跡』を視聴したが、そのつながりのよさは実に見事。シームレスな水平方向の音場表現はひじょうに密で、天井方向の立体的な包囲感も巧みに再現し、いわゆるイマーシブサウンドの醍醐味が味わえる。コンター60のどっしりとしたエネルギーバランスが全体を支え、センターのコンター25Cも克明かつ濃厚なセリフ描写。サラウンド音場の中に音を精巧にちりばめた、とてもゴージャスな立体音響が味わえた。
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SPEAKER SYSTEM
DYNAUDIO
Contour 60
¥1,300,000(ペア、税別)
型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、150mmコーン型ミッドレンジ、240mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:220Hz、4.5kHz
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W295×H1355×D460mm/54.3kg
Contour 20
¥640,000(ペア、税別)
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、180mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.2kHz●出力音圧レベル:86dB/2.83V/m
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W215×H440×D360mm/15.5kg
Contour 25C
¥450,000(税別)
●型式:2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、180mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:2.2kHz
●出力音圧レベル:87dB/2.83V/m
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W750×H250×D396mm/25.3kg
●ラインナップ:Contour 30 ¥1,000,000(ペア)+税
【問合せ先】
問合せ先:DYNAUDIO JAPAN(株)
電話番号:03-5542-3545
>>DYNAUDIO JAPANのWEBページ
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