HOME > レビュー > ピエガのアルミ筐体採用スピーカー「TMicro」シリーズが刷新。フロアー型からサブウーファーまで一気に聴いた
TMicro 60 AMT(フロアー型)/ TMicro 40 AMT(ブックシェルフ型)/ TMicro Center AMT(センタースピーカー)/ TMicro Sub2(サブウーファー)
[HiVi 2017年6月号レビュー]ピエガ TMicro 60 AMT/ TMicro 40 AMT/ TMicro Center AMT/ TMicro Sub2
アルミのエンクロージャーを積極的に活用し、先進性とオリジナリティあふれるスピーカーを作り続けるスイス生まれのピエガ。独自のリボン型同軸ユニットの開発など、このメーカーはこれまでにも多くの話題を提供してきた。
ここで紹介するTMicro AMTは、そのピエガがリリースするTMicroシリーズの新製品である。外観とサイズは前モデルとほとんど同じだがユニットはすべて一新されている。なかでも目を引くのが昨年発売のクラシックシリーズで初採用されたエアーモーション方式のAMTトゥイーターだ。このトゥイーターは薄膜のアルミ振動板をアコーディオンカーテンのように折り込み、それを伸び縮みさせることで発音し、トランジェント特性に優れたサウンドを再現する。これが新シリーズの音づくりに大きく貢献している。
TMicroAMTはブックシェルフ型の40AMT、フロアー型の60AMT、そしてマルチチャンネル用のセンタースピーカーCenterAMTが用意されている。40AMTはAMTトゥイーターと12cm口径のMDSウーファーによる2ウェイ構成。60AMTはAMTトゥイーターと12cm口径の3基のMDSユニット(2基はウーファー、1基はミッドレンジとして動作)で構成される4ユニット3ウェイ機。CenterAMTはAMTトゥイーターと10cm口径の2基のウーファーで構成されている。いずれもインピーダンスは4Ω、能率は40AMTとCenterAMTが87 dB、60AMTが90 dBとこのサイズのモデルにしては充分なスペックである。
エンクロージャーにアルミを使うと木製に比べて厚みを抑えることができるが、金属固有の振動が発生するため鳴きを抑えるダンピング材が必要になる。この材料の選択と使用量で音の活力が大きく変化するため、ピエガではこの部分の開発にも時間を費やし、独自の素材(配合)に辿り着いた。もちろんTMicro AMTのエンクロージャー内部にもこの独自素材が採用され、エンクロージャーの特性を最大限に引き出す工夫がなされている。
TMicro 60 AMTの中低域ユニットにはMDSテクノロジーを採用。MDSとはMaximum Displacement Suspensionの略で、ピエガオリジナルのロングストローク設計ユニット。強化フレームに特殊サスペンション構造を組み合わせることで小口径ながら力強い低域再生を実現するようだ。以前からあるテクノロジーだが、本モデル用に刷新がなされたとのこと
トゥイーターには、昨年発売のClassicシリーズと同様にAMT-1(エアー・モーション・テクノロジー)を採用。Coaxなど上級シリーズに搭載されるリボン型とは異なり、深いプリーツ状のフィルム(ダイアフラム)を伸縮させることにより発音を行なうハイルドライバーに近いユニットだ。磁気回路には高純度のネオジムを採用している
試聴はブックシェルフ型の40 AMTから始めた。カレン・ソウサのCD『エッセンシャルズ2』では、従来機を凌ぐ質感の向上したサウンドを聴くことができた。さすがにシンセベースの重低音は厳しいが、サイズを超えた豊かな鳴り方だ。ヴォーカルの再生も申し分なく、艶やかな声を描き出す。マイケル・スターン指揮カンザスシティ交響楽団『サン=サーンス:交響曲第3番』でもオルガンの音色をていねいに捉えるし、適正な音量の範囲なら破綻もない。
続いて60 AMTをチェックする。スリムだがフロアー型ということもあり、ブックシェルフ型の40AMTより表現力にはゆとりが感じられる。このウーファーの口径からすると重低音の再現は難しいところもあるが、低音感は充分備わり、音量を上げてもびくともしないタフネスに感心。ヴォーカル曲では声の質感をよく描き出す。ハイレゾ音源ではもう少しキレが欲しいところだが、ゆったりとした表現力はこのモデルならではの共通した部分だ。
最後にセンタースピーカーCenter AMTとサブウーファーTMicro Sub2を加えて5.1ch再生を試してみた。UHDブルーレイ北米盤『シング』のオープニングシーンでは、ナナの歌うビートルズの「ゴールデン・スランバー」がセンタースピーカーから流れ、劇場内の響きをリアにセットした40 AMTがスムーズに捉える。CenterAMTの再生するダイアローグは誇張感がなく自然な感じがとてもよい。
『ターザン』ではセンターchにも銃声などの音が収録されているのだが、ウーファーサイズの小さいセンタースピーカーもよく踏ん張り音を明瞭に描き出す。銃撃戦の弾丸の軌跡も手にとる様に分かる。
5.1ch再生のスケールの大きい空間描写にも惹きつけられるが、引き締まったマルチチャンネル・サウンドの再現にこのシリーズの特徴がよく現われている。お洒落なスピーカーでオーディオビジュアルを楽しみたい読者に自信をもってお薦めできる製品である。
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SPEAKER SYSTEM
PIEGA
TMicro 60 AMT
¥320,000(ペア、税別)
●型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:AMTリボン型トゥイーター、120mmコーン型ミッドレンジ、120mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:200Hz、4kHz
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●再生周波数帯域:45Hz~40kHz
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(共に別価格¥344,000・ペア+税)
●寸法/質量:W140×H1060×D170mm/13kg
TMicro 40 AMT
¥135,000(ペア、税別)
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:AMTリボン型トゥイーター、120mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:4kHz
●出力音圧レベル:87dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●再生周波数帯域:50Hz~40kHz
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(共に別価格¥150,000・ペア+税)
●寸法/質量:W140×H240×D170mm/3.4kg
TMicro Center AMT
¥85,000(税別)
●型式:2ウェイ3スピーカー・密閉型
●使用ユニット:AMTリボン型トゥイーター、100mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:4kHz●出力音圧レベル:87dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●再生周波数帯域:50Hz~40kHz
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(共に別価格¥93,000、税別)
●寸法/質量:W410×H120×D130mm/4.4kg
TMicro Sub 2
¥148,000(税別)
●型式:アンプ内蔵バスレフ型
●使用ユニット:180mmコーン型ウーファー
●アンプ最大出力:150W
●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA)
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(共に別価格¥164,000+税)
●寸法/質量:W220×H280×D250mm/12kg
【問合せ先】
フューレンコーディネート
電話番号:0120-004884
>>フューレンコーディネートのWEBページ
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