HOME > レビュー > アキュフェーズの最上位プリメインアンプが「E-650」にモデルチェンジ。ノイズフロアが一段と下がり、精細感がより際立つ
アキュフェーズの純A級プリメインアンプ「E-600」が4年ぶりにモデルチェンジして「E-650」に進化した。
本機で注目すべきは、プリアンプ部の音量調整機能が「Balanced AAVA」方式ボリュームコントロールとなったことである。このボリュームコントロールは、これまで同社のフラッグシッププリアンプの「C-3850」だけに採用されていたもので、全ボリュウム位置において「C-3850」に匹敵する低雑音性能を実現するものだ。さらにE-600ではパワーアンプ部のみだったバランス回路設計が、入力から出力までフルバランス伝送設計となり、電気的性能もいっそうアップしている。電源部も本機専用に大型高効率のトロイダルトランスを新たに開発して搭載、平滑コンデンサーも容量をアップしたカスタム仕様の高音質コンデンサーが採用されている。
MOS-FETを3パラレルプッシュプルとしたパワー段の構成は従来通りだが、出力回路を徹底的に低インピーダンス化してダンピングファクターを大幅に向上、E-600の500から本機では800までダンピングファクター値をアップさせている。加えて本機でも使用可能なオプションボードもフルモデルチェンジされ、アナログディスク入力ボード(フォノイコライザーアンプ)「AD-50」(¥60,000税別)と、デジタル入力ボード(D/Aコンバーター)「DAC-50」(¥80,000税別)が同時発売となる。
オプションボードを2枚差し込んでいる状態のカット。手前はE-650の登場に合わせて進化した、DACボードのDAC-50(¥80,000)。DACチップはバーブラウン製から旭化成エレクトロニクス製「AK4490EQ」になり、USB入力ではPCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHz(ASIO)に対応する。奥側も同じく新しくなったMM/MC対応フォノボードのAD-50(¥60,000)。E-650では上記オプションボードのほかに、対応の既存オプションボードも使用可能だ
スピーカーはBowers & Wilkins(B&W)のフラッグシップ機「800D3」を使い、超優秀録音のクリスマス合唱曲集CD『Hodie』や、抑揚が大きくエネルギーも豊かなアンナ・ネトレプコのソプラノ、最新ジャズのシャイ・マエストロ・トリオなどを聴いたが、一聴してE-600よりも透明感やS/N感が向上していることが分かった。
英国の大聖堂でワンポイントステレオ録音され た『Hodie』は、静けさや見通しのよさ、ステレオイメージの豊かさといったところを聴くには絶好のアルバムだが、本機で聴けた音はE-600に比べてノイズフロアが一段と下がり精細感が際立つ。ネトレプコの歌う『マクベス』は、超速パッセージのコロラトゥーラが熱情的に迫ってくるCDだが、これも本機では華やかさも音数の多さも従来モデルより一枚上手という感じだ。それでいて声を張り上げても耳にキツイという感じはなく、生理的な快感となるところに感心した(このあたりは組み合わせるスピーカー次第というところもあるけれど)。シャイ・マエストロ・トリオも、最初のスネアの一撃から輪郭強調型ではないアコースティックでナチュラルなドラムサウンドが響き渡って実に生々しい。
純A級プリメインアンプということで、パワー不足の心配をされる方もいらっしゃるかもしれないが、試聴ではB&W 800D3を不安なくドライヴしていた。よほど広い部屋で低感度スピーカーを使うのでなければ心配はまずご無用と思う。
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Integrated Amplifier
ACCUPHASE
E-650
¥730,000(税別)
●出力:60W×2(4Ω)、30W×2(8Ω)
●接続端子:アナログ音声入力7系統(RCA×5、XLR×2)、プリアウト出力2系統(RCA、XLR)、パワーアンプ入力2系統(RCA、XLR)、ヘッドホン端子1系統(標準フォーン)他
●寸法/質量:W465×H191×D428mm/25.3kg
●備考:オプションボードスロット2系統装備。バランス入出力HOT=2/3
番ピン(切替え可)
【問合せ先】
アキュフェーズ(株)
電話番号:045-901-2771
>>アキュフェーズのWEBページ
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