HOME > レビュー > デノンの小型プリメインアンプ「PMA-60」が実に魅力的。聴き手を包み込むサウンドはフルサイズ高級機に劣らない品質
ハイファイオーディオの世界で、デノンが地道に培ってきた高音質化に向けた技術やノウハウをコンパクトな筐体に凝縮したデザインシリーズ。フルサイズの高級機に勝るとも劣らないクォリティと、小型で洗練されたデザインは、各方面から高い評価を受け、新世代のオーディオスタイルとして広がりつつある。
ここで紹介する「PMA-60」は同シリーズの初代USB DAC内蔵プリメインアンプとして人気を博した「PMA-50」の後継機である。"フルサイズコンポに引けをとらない高音質再生"という強い思いをそのまま受け継ぎながら、クォリティへのこだわりはより徹底され、クラスを超えた表現力を目指している。
仕様としてはUSB入力でDSD 11.2MHzのネイティヴ再生、PCM 384kHz/32bit再生対応のDACシステムの搭載がトピックだが、本質的な音質改善に向けた技術、工夫が少なくない。
最大の注目点はアンプ部の進化にある。従来のクラスDタイプのDDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)テクノロジーは、最新版が投入された。PWMモジュレーターとフィードバックプロセッサーが1チップ化されたことで、さらなる低ノイズ化を実現。同時に、周辺回路がシンプルになったことで、よりきめ細かな音質対策が可能となったという。
小さな筐体いっぱいに端子を詰め込んでいる。上段が入力端子で、左側にはアナログ入力も装備。 USB入力ではPCM 384kHz/32ビット、DSD 11.2MHzまで対応。下段にはバナナプラグ対応スピーカー端子のほか、サブウーファー出力も搭載している
ではスピーカーにモニターオーディオの「PL100II」を組み合わせて、MacBook Airを接続したUSBサウンドを聴いてみよう。最初は96kHz、192kHz収録のハイレゾ音源を中心に試聴。音の勢いや空間の静けさ、そして細やかな表現力といったところで、オーディオ機器としての素性のよさが実感できる。
エッジを効かせて華やかさを出すタイプではなく、おおらかに聴き手を暖かな音調でおおい包んでくる。シーネ・エイの声はゾクッとするほどみずみずしく、ピアノ、ベース、バスドラと、雑味のないフレッシュな響き、躍動するリズムが新鮮だった。
前作のPMA-50のサウンドも同環境で確認したが、これもけっして悪くない。気張りのないニュートラルな音調で、時には溌剌と、時には穏やかに聴かせる豊かな表現力はPMA-60に通じるものがある。
充分満足のいくレベルだが、PMA-60に替えるとまた別の世界が拡がる。基本的な帯域バランス、音色、ダイナミックレンジなどは大きく変わる感じはないが、音そのものの質感がなめらかになり、分解能に余裕が感じられる。これを聴いてしまうともう後戻りするのは難しい。
最後に同じデザインシリーズのCDプレーヤー「DCD-50」との組合せで女性ヴォーカルを確認したが、これも鮮度が高く、肌合いのいいサウンドは健在だった。一定のダイナミックレンジを確保しながら、癖のない緻密な音をバランスよく聴かせる。ついつい聴き入ってしまう、そんな聴き心地のよさ、馴染みのよさを感じさせるサウンド。実に魅力的だ。
....................................................................................................
D/A Converter+Integrated Amplifier
DENON
PMA-60
¥70,000
●出力:50W×2(4Ω)、25W×2(8Ω)
●接続端子:アナログ音声入力1系統(RCA)、デジタル音声入力4系統(同軸、光×2、USBタイプB)、
ヘッドホン端子1系統(標準フォーン)他
●寸法/質量:W200×H86×D258mm/2.7kg
【問合せ先】
デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオ お客様相談センター
電話番号:0570-666-112
>>デノンのWEBページ
....................................................................................................
上杉研究所 藤原伸夫氏設計・製作 6L6プッシュプル・インテグレーテッドアンプ
Sun Audio SVC-200 管球王国ヴァージョン (プリアンプ)
真空管と採用パーツの変更で音質と安定性の向上を図った限定高音質仕様
エレハモ製6550EHと優れた特性のトランスが活きたパワーアンプ