HOME > レビュー > KEFのサブウーファー「kube」3兄弟を、人気スピーカーQシリーズで試す。逞しく太いサウンドで心も体も震わせてくれた
kube12b(左) / kube10b(中) / kube8b(右)
優れたコストパフォーマンスが特徴のKEF新生QシリーズはHiVi2017年9月号の「徹底分析」で報告した。しかしその時点では、新Qシリーズに組み合わせて使うサブウーファーは揃いきっていなかった。ということで、リストの機材と組み合わせて、EQなどもオフにした、ストレート再生の報告である。
ユニット口径を型番に表わしたと思しき3モデル。末っ子の「kube8b」は8インチ=20cm径、真ん中の「kube10b」は10インチ=25cm径、長兄の「kube12b」は12インチ=30cm径のユニットを積み、まさに選べるラインナップとして多様なニーズに応える。
外観意匠は写真の通り、精悍な黒基調が共通のテイスト。サイズは使いやすさを追求した凝縮の寸法とカタチ。パッと見でも、置き場所に困るというサブウーファーのネガティブ感も薄い、フレンドリーな嬉しいシリーズである。
と喜ぶ僕だが、実は私生活ではサブウーファーは使っていない......にも関わらず"サブウーファーよもやま話"をひとつ。正月明けはジャズとオーディオの仲間たちが遊びに来る。今年は珍しく"マスタリングを生業にする"女性も参加。貴重な話に皆が聞き入った。その中で、「最近は5.1chも手掛けるんですが変なんですよ。低音は方向感がないから、サブウーファーはどこに置いてもいいと言うんです」と問題提起。
「プロの世界でそんなことを言っているんですか......」と聞き返したかったが、 実はHiViも同じ論調でいたこともある。その背景には、専門書に「低音は方向感がない」と書かれていたからではないだろうか。実際、70年頃に読んだ覚えがあり、信じていた。でも、端っこに置き聴いてみると、方向もエネルギーの存在も知覚し、音場・音像の偏りを感じてしまう。だから、サブウーファーは中央設置がいい、と今は思っている。
そうは言っても、ホームシアターではセンタースピーカーもあるので、ひじょうに難しい。しかしサイズなど条件次第では不可能ではない。今回の新製品群は、そこも魅力に思うのである。
視聴のセッティングはまず、もっとも大きなkube12bの上部空間に、センタースピーカーが置けるように置台を作った。高さは常設スクリーンに被るか被らないかの程よさ。こうして組んだ5.0chを基準に、kube8bから順々にセンタースピーカーの真下(中央)に置いて、UHD Blu-ray『ブレードランナー』と『ハドソン川の奇跡』の冒頭部を視聴する。
『ブレードランナー』は制作こそ古いが冒頭の"ズドーン"からして五感を喜ばす。LFE(Low Frequency Effect)の記録レベルはメインLCR(左、中、右スピーカー)よりも大胆に活かされて、チャプター2までは驚きと快感の重低音が広大な空間感と共に味わえる。『ハドソン川の奇跡』の夢の中の墜落場面は、LFEが強力に補強する怒涛の恐怖感が聴きどころ。全chフル稼働での、サブウーファーのエネルギーバランスや質感が問われようか。
kube10bの端子部。LFE入力(ローパスフィルターバイパス)、ライン入力のほか、付属アダプターを使うとスピーカーケーブルでの信号入力も可能だ。また、「In-Room」「Wall/Cabinet」「Corner」とサブウーファーの設置位置によって使い分けることができるDSPコントロールEQを搭載。切り替えはスイッチで簡単に行なえる。背面端子部はkube12b/10b/8bすべて共通となっている
では末っ子kube8bの『ブレードランナー』だが、重低音域をキュッと引き締めて、好反応だ。メインの「Q750」とシームレスなつながりも感じさせて、タイトな"ズドーン"を放つ。小さいながらに凄いと思う。『ハドソン川の奇跡』の怒濤の効果音はやや小ぶりだろうか……でも心理効果はなかなかだ。
しかしkube10bに置き替えると俄然、スケール感を増す。『ブレードランナー』は逞しく太い質感で、沈み込んでの重低音だ。しかもメインの「Q750」などと抜群のマッチングを感じさせて、トータルに見事な説得力を発揮する。怒涛の『ハドソン川の奇跡』はサイズ増量以上と思うようなボトム感を放って、迫真の恐怖感を抱かせる。表現力、使い勝手のいいサイズ、そして価格を思えば、大変に魅力的なハイCP(コストパフォーマンス)機ではないだろうか。
長兄kube12bは余裕の言葉が似合う。視聴室のどこかにビリビリと共振も発生させながら、我が体も震わす。この音、まったく『ブレードランナー』は快感だ。緊迫感や危機感、恐怖感をどこまでも上昇させる『ハドソン川の奇跡』に底なしのような力量を想った。経済的にスペース的に余裕があるなら、もちろん本機がおススメである。
そのほか、入魂のDSPプリアンプに内蔵パワーアンプはDクラスの300W、ユニットはインストールも考慮して正面向き、かつエンクロージャーは密閉型という3モデルに共通の特徴も持つ。重低音の方向性も考慮したくなるスグレモノ3機種である。
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●リファレンス機器
UHDブルーレイプレーヤー:オッポデジタル「UDP-205」
AVセンター:デノン「AVR-X4400H」
スピーカーシステム:KEF「Q750」(L/R)、「Q650c」(C)、「Q350」(LS/RS)、モニターオーディオ「CP-CT260」(トップ)
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SUBWOOFER
KEF
kube12b
¥119,800+税
●型式:アンプ内蔵・密閉型
●使用ユニット:300mmコーン型ウーファー
●最大出力:300W
●寸法/質量:W393×H410×D410mm/20.6kg
kube10b
¥89,800+税
●型式:アンプ内蔵・密閉型
●使用ユニット:250mmコーン型ウーファー
●最大出力:300W
●寸法/質量:W353×H370×D370mm/17.4kg
kube8b
¥59,800+税
●型式:アンプ内蔵・密閉型
●使用ユニット:200mmコーン型ウーファー
●最大出力:300W
●寸法/質量:W293×H293×D310mm/11.3kg
【問合せ先】
(株)KEF JAPAN
電話番号:03-3528-2101
>>KEFのWEBページ
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Sun Audio SVC-200 管球王国ヴァージョン (プリアンプ)
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