HOME > スペシャルレビュー > 究極的なマルチメディア・プレーヤー OPPO UDP-205の驚くべき実力を聴く
2017年9月28日/三浦孝仁
UHDブルーレイプレーヤーとして目下の注目機種であるUDP-205だが、HiVi8月号の「from Writers」で三浦孝仁さんに記していただいたように、オーディオプレーヤーとしてUDP-205に注目している方も多いことだろう。そこで、CD/SACDというオーディオディスク、ハイレゾファイルのプレーヤーとしていかなるクォリティを見せてくれるか、HiVi視聴室、そして三浦さんの自宅試聴室でじっくりと検証を行なった。(編集部)
OPPO Digital
UDP-205
オープン価格(実勢価格20万円前後)
●再生対応メディア:UHDブルーレイ、BD、ブルーレイ3D、DVD、DVDオーディオ、CD、SACD 他
●接続端子:HDMI出力2系統、HDMI入力1系統、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、7.1chアナログ音声出力1系統(RCA)、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)、USBタイプA 3系統、USBタイプB 1系統、LAN1系統 他
●寸法/質量:W430×H123×D311mm/10kg
●問合せ先:OPPO Digital Japan TEL 0570(050)260
UHDブルーレイ再生対応機のオッポデジタルUDP-205は人気急上昇中らしい。原稿執筆時点でオンラインショップでの在庫はなく入荷待ちの状態。4K対応テレビの普及とUHDブルーレイ作品のリリース増からも人気の背景がうかがえるわけだが、ここではオーディオプレーヤーとしてのUDP-205にフォーカスして、音の実力を自分の耳で確かめてみた。
私がオッポデジタルのディスクプレーヤーに注目するようになったのは、BDP-105JPから。音質を気に入って購入した私は、最終進化型のBDP-105Dジャパンリミテッド(JPL)も導入している。ピュアオーディオ志向の私にとって、SACDやDVDオーディオ、そしてブルーレイオーディオなどの高音質ディスクメディアに対応しているプレーヤーは重要な存在なのだ。音質のよさで知られるESS製の最高級32ビットDAC素子ES9018Sをステレオ専用とマルチチャンネル専用に別建てで搭載していたことが、私にとって大きな購入動機だった。
ダイナミックな演奏もこなす予想以上の音に思わずのけぞった
さて、最新鋭機のUDP-205である。光学ディスクのメジャーメディアには当然ながらフル対応で、オーディオプレーヤーとしての訴求ポイントは、なんといってもESSテクノロジーが新規開発した最高性能DAC素子ES9038PROの採用。ES9018Sと比べて約4倍の電流出力が得られる8チャンネル仕様のDACで、諸特性の優秀さでもトップクラスの最新鋭素子である。UDP-205よりも一足早く同社のD/AコンバーターSonica DACで採用されているので、高音質の評価はすでに知られているとおり。Sonica DACと同じく、UDP-205のUSB DAC機能はDSDで22.6MHz(DSD512)とPCMで768kHz/32ビット対応という超ハイスペックであることはひじょうに嬉しい。UDP-205の場合はステレオ出力(RCA/XLR/ヘッドホン)に1基のES9038PROを、そして7.1ch出力(RCA)に1基のES9038PROを採用するという贅沢なダブル搭載である。
高音質だがコスト面で高価なDAC素子なのがES9038PRO。たとえばアキュフェーズの最高級D/AコンバーターDC950やスフォルツァートの最新ネットワークプレーヤーDSP-Velaは、ES9038PROを採用している。しかしながら、プライスタグはUDP-205とは比較にならない......。
UDP-205には4K映像対応とオーディオ専用のHDMI出力端子がある。ホームシアターで音を展開するにはHDMI接続が一般的なのだろう。しかし、そうするとES9038PROの出番はなくなる。UDP-205の真価を知るためには、やはりアナログ出力の音を聴かなければというわけで、私はHiVi視聴室と自宅の両方で音を確認した。
最初はHiVi視聴室でのリスニングである。UDP-205からのバランスド出力(XLR)をアキュフェーズのプリアンプC2850に入れて、プリアウト出力はバランスドでマークレビンソン No.532に接続。スピーカーシステムはモニターオーディオのPL300II だ。
UDP-205をピュアオーディオ用途で使う場合にも、基本的にはディスプレイを接続しての設定が必要になる。ここで注意したのは、音量の固定とXLR出力の極性指定、SACDのステレオ優先再生、そしてPCM音源のフィルター選択など。フィルターはデフォルトのミニマル・フェイズ・ファスト(Mini Phase Fast)にして聴くことにした。
試聴を開始する。最初に手嶌葵のコンピレーションCD『Collection Blue』から「月のぬくもり」を聴いて、私は思わずのけぞってしまった。予想していたよりも本格的な音の構築で、実にしっかりした音楽の提示が得られたからだ。彼女の透き通った声質は繊細さが際立っていて、伴奏のグランドピアノの低域の響きも克明に描かれている。聴き慣れているBDP-105DJPLよりも懐が深いと思わせる立体感で、音離れのよさも優れている。イーグルスのライヴCD『Hell Freezes Over』での「ホテル・カリフォルニア」も好印象の音だった。オーディエンスの歓声や口笛など音数が多く、ギターの音色の鮮やかさや打楽器によるリズムの迫力も充分。DAC素子がES9018SからES9038PROになったことによる音質改善は明らかといえよう。客観的な聴き方でも、ヴェールを剥いだような精細さと透明感を獲得しているとはっきり感じられる音だった。
SACDは、T-SQUAREの安藤正容と御厨裕二による『ペーパー・プレーン』から「Kangaroo」を聴いている。やはり躍動的でキレ味優れた音であり、楽曲の勘所をうまく引き出している。DSDレコーディングで収録された石田組の『ザ・石田組』は、選曲がユニークなクラシック。ここではレッド・ツェッペリンの「カシミール」を聴いている。石田組はリーダーの石田泰尚が率いる弦楽合奏団であり、ヴァイオリンの鋭角的な音色や抑揚の豊かなダイナミックな演奏を得意としている。UDP-205は、そんな激しさも無理なくこなす、余裕を感じさせる音だった。
▪️スタイル①
USBフラッシュメモリー再生
もっとも簡単なハイレゾファイルの再生方法は、データを入れたUSBフラッシュメモリーを本体に挿すこと。あとは次ページに紹介するアプリ「MediaControl」か、映像出力したディスプレイを見ながら選曲するだけ。対応するサンプリング周波数/量子化ビット数は〜192kHz/24ビットのPCM系ファイルと〜5.6MHzのDSDファイル(5.6MHzはPCM変換再生)
各スタイルで使う端子は写真上の番号の通り。①のUSBタイプA端子は本体前面にも1系統を装備。背面はUSB3.0、前面はUSB2.0 という仕様に差はあるが、再生できるファイル等はどちらも同じ
▪️スタイル②
ネットワークオーディオ
アプリで選曲を行なうネットワークオーディオのスタイルは、日頃からハイレゾファイルやCDをリッピングしたデータをNASに保存している方にとって特に有用だろう。NAS内のデータを直接読み出し、再生できる。対応するサンプリング周波/量子化ビット数は〜192kHz/24ビットのPCM系ファイルと〜5.6MHzのDSDファイル(5.6MHzはPCM変換再生)
スタイル③
USB DAC
PCと本体をつなぎ、PCのソフトでファイルを再生するのがUSB DAC機能を使うスタイル。対応するサンプリング周波数/量子化ビット数は〜768kHz/32ビットのPCMと〜22.6MHzのDSDというハイスペック。DoP形式でも11.2MHzのDSDを入力できるため、Macでも手軽に11.2MHzDSDが再生できる。デラやフィダータなどのUSB DAC接続機能を持ったNASとの相性もいいだろう
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